promenade

今朝投稿した<La porte des rêves>が開催されていたPropriété Caillebotteは植物園も有していたので、絵画を見たあとはぼけーっとそこを散歩した

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ぼーっと散歩をしていると、ふと、わたしはなんて遠いところまで来てしまったんだろう、と思うことがある


わたしの地元は電車が1時間に1本(それも4両編成)しかないようなド田舎で、海外どころか東京がひどく遠いところという認識だった


わたしが東京の大学を選んだ理由は「とにかくこの田舎から脱出したいから」で、指定校大学のリストから適当に進学先を決めた


学部に至っては心理学を専攻したかったが数学Bがとにかく苦手なので、フランス文学を選択。もちろんフランス文学を読んだことなどなかった


そんな人間が今やフランスに留学していて「フランス文学大好き!ルソー大好き!」となっているのだから、人生不思議なものだ


そんな人生でも散歩をしながら考えていると、自分にとって最適なものだなと思えてくる


他人にいろいろと嫌味や悪口をたくさん言われたこともあったけど、それも含め、よい人生だ、そして「自分の人生」を歩んでいるのだ、すとんと納得できるのだ


こんなのらりくらりとした生き方をみてイラっとしている友人もきっといるだろうけど、これからも最適な決断を下せるように、ゆるゆるっと余裕のある生き方をしていきたい

La porte des rêves

<La porte des rêves>ーー〈夢へのとびら〉という展覧会をおとずれた

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「夢」が題材になっている絵は18世紀以降に多く描かれたと授業で知って、この展覧会にはわたしが好きになるであろう作品がたくさんあるに違いないと思ったのだ


その予感は的中して、展示されている絵はすべてすばらしく、それはわたしが日本で学芸員として従事していたらこのまま特別展として誘致したいほど


とくにConstant Montald の≪Eden≫という作品は格別。油絵であるにもかかわらず、キャンパス地が透けて見えるほど、うすーくうすーく色が重ねられていて、まるでパステル画のような透明感が印象的だった

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この写真はパンフレットに載っていたものを撮ったものだから不鮮明だけど、プロの写真家が撮ってもあの透明感は伝わらないと思う


そのくらい繊細で上品な作品に出会えた喜びといったら特別なものだ


近年、インターネットの発達/普及により、どこにいてもたくさんの情報を享受できるようになったけど、なにかを「ネット上で見たことがある」というのと、「実際に見たことがある」というのは、雲泥の差だ、とつくづく思う


どこかの足を運んで、そこで偶然好きになった特別なものを、これからも大切にしていきたい

 

 

Sergei Polunin

飯島望未さんのセブンルールをみて知った、バレエダンサー、セルゲイ・ポルーニン出演の『Take Me to Church』という作品を観た。

https://m.youtube.com/watch?v=c-tW0CkvdDI

 


豊かな表現力、完璧な技、均整の取れた身体が評価され、19歳という若さにして英ロイヤル・バレエ団のプリンシパルとなった彼だが、クラシックバレエの完成された美の世界と現実世界のはざまで苦しみ、22歳のとき電撃退団。

『Take Me to Church』はドラッグ体験やアルコールに溺れた日々を経て出演した作品だ。

 


陽が差す部屋で舞うポルーニンの身体にはタトゥーが彫られており、苦悩の日々が痛いほど伝わってくる。高々としたジャンプにも、心のなかでなにかと戦い、もがいていたようすがあらわれている気がした。

そんな葛藤が感じられると同時に、鍛え上げられた身体の美しさや確かな技術力に感心してしまう。

バレエダンサーの肉体美は人間の身体のありかたとして素晴らしいもので、とくにコンテンポラリーを踊る身体から溢れる、自分自身を統御しているようなオーラほどわたしを魅了するものはない。

コンテはそのひとの人生すべてが踊りに反映さえているような気がして、観ていると心が作品にのめり込んでしまう感覚に陥る。

 


バレエやコンテはほかの芸術に比べて鑑賞者の経験値(鑑賞の有無・事前知識など)が求められるが、『Take Me to Church』はそんなものすべてをとっぱらって、否応なしに観てもらいたい作品だと思った。