Sergei Polunin

飯島望未さんのセブンルールをみて知った、バレエダンサー、セルゲイ・ポルーニン出演の『Take Me to Church』という作品を観た。

https://m.youtube.com/watch?v=c-tW0CkvdDI

 


豊かな表現力、完璧な技、均整の取れた身体が評価され、19歳という若さにして英ロイヤル・バレエ団のプリンシパルとなった彼だが、クラシックバレエの完成された美の世界と現実世界のはざまで苦しみ、22歳のとき電撃退団。

『Take Me to Church』はドラッグ体験やアルコールに溺れた日々を経て出演した作品だ。

 


陽が差す部屋で舞うポルーニンの身体にはタトゥーが彫られており、苦悩の日々が痛いほど伝わってくる。高々としたジャンプにも、心のなかでなにかと戦い、もがいていたようすがあらわれている気がした。

そんな葛藤が感じられると同時に、鍛え上げられた身体の美しさや確かな技術力に感心してしまう。

バレエダンサーの肉体美は人間の身体のありかたとして素晴らしいもので、とくにコンテンポラリーを踊る身体から溢れる、自分自身を統御しているようなオーラほどわたしを魅了するものはない。

コンテはそのひとの人生すべてが踊りに反映さえているような気がして、観ていると心が作品にのめり込んでしまう感覚に陥る。

 


バレエやコンテはほかの芸術に比べて鑑賞者の経験値(鑑賞の有無・事前知識など)が求められるが、『Take Me to Church』はそんなものすべてをとっぱらって、否応なしに観てもらいたい作品だと思った。